外国人にはちょっと難しい!?日本の名字ランキングトップ10とそのルーツ
世界中の多くの人々が自己紹介をする時、自分の「名字」と「名前」を名乗ります。カジュアルな場面では名前だけを名乗ることもありますが、フォーマルな場面ではやはり名字と名前の両方名乗るのが一般的と言えるでしょう。
今回はそんな自己紹介の場面で口にすることが多い「名字」にちなんで、「日本に多い名字ランキングトップ10」をご紹介しましょう!
日本には約30万種類にも及ぶ名字が存在すると言われています。
なぜ日本の名字の数がここまで多いのかというと、同じ漢字で表記される場合であっても読み方が違うことがあり、それらが別の名字として区分されてしまうためです。
中にはあまりにも珍しすぎて、日本人でも簡単に読めない名字も多く存在しています。
日本語を勉強中の外国人にとっては、日本語の勉強、漢字の勉強、日本の歴史の勉強になり、とても興味のあるトピックです。
日本の名字の歴史とは?
日本で名字が世襲されるようになったのは平安後期(1001年~1180年頃)と言われています。それ以前からも貴族階級では邸宅のある地名を称号としていましたが、その頃になると武士達も自身の支配する土地の所有権を主張するため、その土地の名を名字として名乗るようになりました。
鎌倉時代(1180年~1333年)頃の武士は家督の相続が分割で行われていたため、兄弟であっても家が分かれながら「別の名字」を名乗るようになっていき、名字の種類がどんどん増えていきました。
その後、南北朝時代以降(1333年~)は、嫡子が家督を単独で相続するようになり、兄弟が分家することがなくなったため、同じ名字を名乗ることが多くなっていきます。
一方庶民はというと、明治時代(1868年~1912年)に入り庶民が国民として法により名字を名乗れるようになるまで、公式の場で名字を名乗ることはできませんでした。
しかし、戸籍制度が制定され庶民も名字を名乗ることができるようになると、地名や場所由来の名字だけでなく、自分で名字を創作して届け出る人も出てきました。
その結果、日本の名字の数が再びどんどん増えていくこととなり、中には難解な呼び方の名字が存在するようになったと言われています。
このように日本の名字の歴史を見てみると、日本人が身分の分け隔てなく名字を名乗るようになってからまだ150年も経っていないことがわかります。
今日のように名字があることが当たり前の生活をしていると、日本の名字の歴史の浅さに驚く人も少なくないでしょう。
それでは、約30万種類もあると言われている日本の名字ランキングトップ10には、一体どのような名字が入っているのでしょうか?
海外であれば、「スミス」や「ウィリアムズ」などが入ってきますが、まあみなさん日本人の方たちですので、トップ10入りの有名苗字はだいたい予想はついちゃいますね。
では、由来などと一緒におさらいしていきましょう。
1.佐藤
天皇から賜ったことに由来する名字。
「佐」は地名、または職名を表し、「藤」は佐藤のルーツである「藤原氏」の名字を指している。
日本全国に約190万人の「佐藤」姓が存在していると言われている。
※藤原氏…飛鳥時代(592年~710年)の政治家である藤原鎌足を始祖とする、日本最大の氏族と呼ばれる血縁集団。
2.鈴木
東日本に多く見られる名字で、日本全国に約181万人いると言われている。
「鈴木」は祭事に関係の深い名字であり、その昔「鈴」を「木」に下げたものを信仰の対象としていた時代もあったという。
3.高橋
東北地方に多く見られる名字のひとつで、日本全国に約142万人いると言われている。
「高橋」のルーツは、地名や河川に掛かる「橋」が由来となっていることが多い。
4.田中
田畑に由来する「田中」のルーツは日本全国各地にあり、約134万人いると言われている。
江戸時代(1603年~1868年)以前は西日本を中心に米作りが盛んであったこともあり、特に西日本に多く存在すると言われている。
5.伊藤
「伊藤」は天皇から賜ったことに由来する名字であり、日本全国に約109万人いると言われる。
「伊」は 地名を表し、「藤」は伊藤のルーツである「藤原氏」の名字を指している。
6.渡辺(わたなべ、わたべ)
「渡辺」は主に職業や地名に由来する名字であり、日本全国に約107万人いると言われる。
また、この名字の漢字には、「渡」がわたる、「辺」がほとりやそのあたりという意味があることから、船の渡し場にも由来する名字であると言われている。
7.山本
「山本」も日本全国各地に広がる名字であり、約106万人いると言われている。
主に、漢字の「山」が意味する山、そして「本」が意味するふもと、に住んでいた人々が名乗るようになったことに由来する。
中には神職家系や公家家系などにルーツを持つ山本氏も存在する。
8.中村
「中村」も日本全国各地に広がる名字であり、約105万人いると言われている。
漢字の意味は「中」が中、「村」が村を意味しており、この名字は小さな村が大きくなり、東村、西村と別れた時の本村を「中村」と呼ぶことに由来している。
中には、共通の祖先を持つ血族の家系や公家の家系など様々な流派が存在する。
9.小林
「小林」は北信越地方に多く見られる名字であり、日本全国に約103万人いると言われている。
小さいを意味する「小」と、木々を意味する「林」から、山里の林に住んだ人々が名乗った、地名に由来する名字。
また、共通の祖先を持つ血族の家系、公家などの家系も見られる。
10.加藤
「加藤」は特に東海地方に多く見られる名字であり、日本全国に約89万人いると言われている。
天皇から賜ったことに由来する名字であり、「加」は地名を表し、「藤」は加藤のルーツである「藤原氏」の名字を指している。
普段は何気なく名乗っている自分の名字ですが、その歴史をたどってみるとたくさんの新しい発見に出会えます。それは日本の名字ばかりでなく、海外の名字にも同じことが言えるでしょう。
今回ご紹介した日本の名字ですが、さすが全国ランキングトップ10の名字なだけあって、日本のあちこちでこれらの名字を持つ人に出会うことができます。もしかしたらあなた自身の名字が、今回ご紹介した名字の中にあったかもしれませんね!
「日本語」「漢字」「日本の歴史」などの要素を含んだ、外国人がとても興味のあるトピックでした。