岩手の天然記念物「厳美渓」「猊鼻渓」― 観光ついでに体験したい!空飛ぶ団子と、こたつ舟下り
日本の岩手県といえば、「わんこそば」「盛岡冷麺」などと食べ物ばかりが思い浮かんでしまいますが、観光地としても見所のある県です。2011年に平泉が世界遺産に指定されてから、更に注目を集めており、これからご紹介する2つの渓谷は、いずれも国の天然記念物に指定されている人気の観光スポットです。
厳美渓(げんびけい)とは?
岩手県一関市にある磐井川の中流にある全長2kmの渓谷で、1927年に国の名勝及び天然記念物に指定されました。
栗駒山の噴火によって堆積した岩が、数万年という年月をかけて水流により削られ形成された自然の彫刻です。奇岩、滝のほか、水流によって小石が岩盤を球状に削った甌穴(おうけつ)などを見ることができます。上流の荒々しい奇石と川の流れに対し、下流はゆったりとした深淵。1つの渓谷でも違った表情を見せてくれます。
有名な戦国武将・伊達政宗も賞賛しており、「松島と厳美がわが領地の二大景勝地なり」と自慢しては、度々この地を訪れていたそうです。
四季を通して様々な魅力があり、特に10月中旬から下旬にかけて紅葉の見ごろをむかえ、エメラルドグリーンの水流と紅葉の葉色とのコントラストがとても綺麗でおすすめです。また、冬に見られる雪化粧をした厳美渓も素晴らしいです。
〈基本情報〉地図
住所:一関市厳美町字滝の上地内
電話番号:0191-23-2350(一関観光協会)
ホームページ:http://www.ichitabi.jp/
〈アクセス〉
【電車・バス】東京駅から東北・北海道新幹線で一ノ関駅下車。岩手県交通バス厳美渓線で「一関駅前」から「厳美渓」(20分)下車→徒歩約1分
【車】一関ICより車で約8分
え?空飛ぶだんご!?
厳美渓名物「空飛ぶだんご」として知られるのが「郭公(かっこう)だんご」。東屋でかごに料金を入れ、木づちで板をたたけば注文完了で、対岸の店から、だんごとお茶が入ったかごがロープ伝いに飛んできます。
「団子3本セット」は、みたらし、黒ごま、あんこの3種類の団子とお茶がついて400円です。団子が柔らかくて食べやすく、流れる川の爽やかな音をBGMに食べる団子は格別の味です。
〈郭公屋(かっこうや)〉
住所:一関市厳美町字滝の上211
電話番号:0191-29-2031
営業時間:9:00~16:00
定休日:4~11月無休、12~3月休業
猊鼻渓(げいびけい)とは?
写真: flickr
日本百景の一つに数えられる猊鼻渓は、砂鉄川(さてつがわ)が石灰岩を侵食してできた約2kmにわたる渓谷で、1923年に国の名勝及び天然記念物に指定されました。大岸壁に岩が突き出た形が、獅子(猊)の鼻のようだとされ、これが名前の由来となったそうです。
高さが100mを超す断崖絶壁の川岸に佇むと、自然の偉大さとなんとも言えない幻想的な雰囲気に包まれて、心が穏やかになります。
穴に入れば願い事がかなう!?
猊鼻渓の名前の由来にもなった「獅子ヶ鼻」という名前の岸壁に小さな穴があいていて、「福」「縁」「寿」「愛」「願」「運」「恋」「絆」「禄」「財」と書かれた運玉のいずれかを選んで、穴に入れば願い事が叶うというパワースポットがあります。あなたも運試ししてみましょう!
※運玉5個で100円
舟下り
猊鼻渓の名物は、船頭さんが竿一本で巧みに舟を操る舟下り。船頭さんの楽しい説明を聞きながら、和気あいあいとした雰囲気の中で観光を楽しむことができ、舟下りのクライマックスには、「げいび追分」という歌を船頭さんが歌ってくれます。
また、雪が舞う冬の期間(12月~2月)は、防寒対策もバッチリの「こたつ舟」に大変身。味噌仕立てのアツアツの木流し鍋を味わいながら舟下りを楽しむという贅沢な体験をすることもできます。
舟下りの所要時間は往復で約90分。
舟下り料金:大人1,600円/小学生860円/幼児200円
〈基本情報〉 地図
住所:岩手県一関市東山町長坂字町467
電話番号:0191-47-2341
ホームページ:http://www.geibikei.co.jp
〈アクセス〉
【電車】東京駅から東北・北海道新幹線で一ノ関駅下車。JR大船渡線に乗り換え一ノ関駅から猊鼻渓駅(30分)→徒歩約5分
【バス】岩手県交通バスげいび渓線「一関駅前」(一ノ関駅西口前7番乗り場)から「げいび渓口」(42分)下車
【車】東北自動車道一関ICから車で約25分
厳美渓と猊鼻渓は、数万年もの時間が作り上げた自然の偉大さに触れることができると同時に、「空飛ぶだんご」や「舟下り」といったアトラクションもあり、目で見るだけでなく体でも楽しめるオススメの観光地です。岩手県を訪れた際には、世界遺産の中尊寺(ちゅうそんじ)や毛越寺(もうつうじ)と共に、足を運んでみてください。