世界中でたった3ヶ所の内の一つ、福井「東尋坊」 ― 日本のサスペンスドラマでは定番の有名観光地
日本のサスペンスドラマでは、事件の犯人が刑事に追い詰められて自供する場面はなぜか断崖絶壁。荒々しい波を受けた崖は、犯人の荒れ果てた気持ちを代弁しているかのようです。今回は、そんな舞台として実際によく撮影に使われている有名な観光地をご紹介します。
東尋坊とは?
柱状の岩が日本海沿い約1kmに渡り連なる、福井県にある断崖絶壁。「輝石安山岩の柱状節理(きせきあんざんがんのちゅうじょうせつり)」という奇岩で、世界でも、ノルウェー、韓国と合わせて3ヶ所でしか見られないとても珍しい地形です。水面から25mもの高さ(ビルの8~9階の高さ)から見下ろす景色はまさに絶景。東尋坊先端に浮かぶ雄島とともに、日本の天然記念物に指定されています。
「東尋坊」の名前の由来
約800年前、奥越(福井県東部の山間エリア)に「平泉寺」という寺がありました。その寺の僧兵の中に、極悪非道の振舞いで周りの僧兵たちを困らせていた「東尋坊」という者がいました。その東尋坊の粗暴に困り果てていた僧兵たちは、東尋坊を酒盛りに誘います。そして、東尋坊に絶壁の上で酒や肴をすすめ、泥酔させ、隙を見て絶壁の先の海へと突き落としてしまいました。その後49日間にわたって、東尋坊の無念により海は大荒れとなり、それからこの地が「東尋坊」といわれるようになったそうです。
みどころ
1.東尋坊
何と言ってもメインはこの断崖絶壁です。崖の端まで行くことができるので、これでもかというほどスリルを味わうこともできますが、くれぐれも東尋坊のようにならないように気をつけてください!岩がゴツゴツしていて歩きづらいので、歩きやすい靴で訪れることをおすすめします。
2.東尋坊観光遊覧船
海の上から東尋坊の景勝を楽しめる観光遊覧船。コースは、東尋坊を出発し、1.5km離れた雄島を半周して、東尋坊の断崖絶壁をはじめ名勝奇岩群を周遊する30分コース。ライオン岩、軍艦岩、屏風岩、ローソク岩といったおもしろい岩々を見ることができます。
日本海の水しぶきを受けつつ断崖絶壁を見るのは、迫力があってなかなか面白いです。ガイドさんが東尋坊の名前の由来や土地のことを教えてくれるので、とても勉強になります。
3.雄島
雄島は、東尋坊の先にある、周囲約2kmの、越前海岸でもっとも大きな島。地元の人たちからは昔から「神の島」とあがめられています。朱塗りの大橋を渡り石段を登ると、歴史の古い神聖な大湊神社などがあり、島の上は神秘的な雰囲気。約1キロある遊歩道では、樹齢100年を超える大木や海食による波形岩など、東尋坊とはまた異なった景色を楽しむことができます。
4.東尋坊タワー
1964年(昭和39年)に建てられたレトロなタワーです。海抜100mの高さから東尋坊を360度楽しむことができ、三国方面まで見渡すことができます。1階では、お土産も販売しています。
5.商店街
約250mの通り沿いに30軒程の商店が並んでいて、新鮮な魚介が食べられる食事処や、海産物が豊富に取り揃えてあるお土産店があります。おすすめは、店頭で網焼きしているサザエやイカ焼きといった浜焼きと福井名物の越前蟹です!
ロマンティックな一面も
自殺の名所や日本のサスペンスドラマのロケ地など、正直なところあまり良いイメージがない東尋坊ですが、「グリーンフラッシュ」というロマンティックな現象を見ることができます。
グリーンフラッシュというのは、太陽が水平線に沈んだ直後、緑色の光が一瞬だけ放たれる現象です。この現象が見られる確率は、非常に少ないものですが、東尋坊でも年に数回見られています。
グリーンフラッシュを見ると幸せになる、その愛が永遠になるなどの言い伝えがあります。夕日の絶景・東尋坊で、恋人と愛を深めるのはいかがでしょうか?
〈アクセス〉地図
【電車】東京駅から北陸新幹線で金沢駅まで行き、JR特急北陸本線に乗り換えJR芦原温泉(あわらおんせん)駅下車(ここまでの所要時間約3時間50分)。芦原温泉駅から京福バス東尋坊行きバスで約1時間。
【車】北陸自動車道金津ICから車で25分。
公式サイト:http://www.mikuni.org/tojinbo/
東尋坊を訪れてみると、自然が作り上げた面白い形をした岩があったり、日本海の素晴らしい眺めを楽しめたり、海の幸を堪能できたりと、観光スポットとしてとても魅力のある場所でした。福井県を訪れた時には、東尋坊までぜひ足を運んでみてください。