熊本県菊池の秋祭り「新宮さん」 ― 勇壮な武者行列が現代に甦る
毎年10月中旬、秋の菊池神社大祭に合わせて、熊本県菊池市では秋祭りが開催されます。地元民はこの祭りを親しみを込めて「新宮さん」と呼んでおり、会場となる市民広場と商店街全体が祭り色一色となり賑やかになります。
新宮さん
神社の大祭行列に引き続き、各町内・各団体がこども御輿や踊り、太鼓などの様々な出し物を考え、街の中を練り歩きます。
菊池一族24代の名前が入った旗を背中にさして歩く武者行列は特に圧巻で、それぞれ少しずつ違った色の甲冑を身につけています。
また、可愛らしい子どもが衣装を着て披露する踊りや、御松囃子御能などの伝統的な演目など、他にも次々に行われるパフォーマンスから目が離せなくなります。
今年は、菊池の守護神とも言われる「白龍」を再現した山車も登場しました。通常白龍は、毎年の菊池夏祭りの方で登場し、七夕飾りに彩られた商店街を練り歩きます。
商店街の中には、観覧席が設けられている場所もあり、その前で各団体が立ち止まってパフォーマンスを行います。団体が踊りなどを披露すると拍手が巻き起こり、会場が一気に盛り上がります。
幼稚園の団体で、小さい子供が一生懸命に踊る姿が印象的でした。
菊池神社
秋祭り「新宮さん」の大元である菊池神社は、菊池一族の居城である菊池城の本丸跡にあり、菊池市を上から見守っています。周囲一体は桜やつつじの名所で、春の季節は多くの観光客で賑わいます。
※菊池一族とは:平安時代から室町時代にかけて、24代にわたり肥後(熊本県)や九州で活躍した一族で、今でも菊池の人々は深く尊敬している一族です。
毎年10月13日、菊池神社で神事が執り行われた後「御松囃子御能」が奉納され、 10月15日に各団体の行進が行われます。
室町時代から継承されているという御松囃子御能は、菊池市の伝統芸能です。天下泰平を祈願して奉納=平穏に暮らせるようにという願いを込めて納められていて、国の重要無形民俗文化財になっています。菊池神社の麓にある高校前の、将軍に見立てた木の前に建てられた能場で行われます。
菊池一族24代武者行列には一般の方も参加可能なので、興味がある方はぜひ参加してみてください。毎年8月ごろに募集が開始され、菊池観光協会に申し込めば、甲冑を着て武者行列の1人となれます。(衣装代などの参加費が必要) 菊池神社:地図
秋祭りを楽しんだ後は?
菊池の秋祭りは観光バスツアーにもなっていて、秋祭りを楽しんだあとの周辺観光も人気です。
例えば、九州でもトップクラスの人気で、有名な道の駅「メロンドーム」を巡るツアーです。メロンドームでは菊池市の地元で採れた野菜や果物、お菓子やお土産を買うことができます。地図
また、菊池市には菊池温泉という温泉街もあり、望月旅館や菊池グランドホテルなど、一日の締めくくりにゆっくり温泉宿に泊まるのもお勧めです。
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