愛知「桃巌寺」 ― 織田家ゆかりの寺に鎮座する、優美な「草緑色」の名古屋大仏
織田信長の父を弔う秘境
愛知県名古屋市千種区に「桃巌寺(とうがんじ)」はある。
台座を合わせて全長15メートルにも及ぶ大仏のある立派なお寺だが、周りが森で囲まれているため、知る人ぞ知る秘境スポットだ。
桃巌寺は、1540年頃、織田信行(織田信長の兄弟)が父の織田信成を弔うために作った曹洞宗のお寺である。
現在の場所には1712年頃に移築され、もとから大仏があったわけではなく、大仏ができたのは1987年。また、現在の色になったのは2006年の改修工事の時だ。
都会の喧騒から隔絶された自然
地下鉄東山線本山駅を出ると、学生や子連れの母親などが行き交うにぎやかな住宅街が現れる。そんな街に違和感なく姿をなじませているのは、自然に囲まれた、桃巌寺への入り口。
境内地へ一歩足を踏み入れれば、自然に包まれたミステリアスな世界が広がる。
奥へ進むには、二つの門をくぐらなければいけない。二つ目の門の名は、不老門。白色に赤が映える門は、どこか、ジブリの世界に出てきそうな、独特なオーラをまとっている。
不老門をくぐってさらに奥へ進めば、いつのまにか視野には自然しか映らなくなる。禁じられた場所へ踏み入れたような気分になる、そんな神聖な雰囲気だ。
車の音が聞こえなくなるくらいの静寂。都会の中にあるとは信じられない別世界だ。
草緑色の名古屋大仏
不老門をまっすぐ進むと大仏の案内がある。
案内に従って、歩幅の狭い岩でできた階段を下るとお墓が現れる。そしてそのお墓に沿うように歩くと、すぐに名古屋大仏が現れる。
インドの面影が少し残る、少しアジアンチックな大仏。濃い草緑色の身体に、黄金色の装飾は、荘厳で美しく、不思議なオーラを醸し出している。
大仏を取り巻く動物や僧侶、台座も見どころのひとつ。皮膚のしわまで細かく作られており迫力がある。
また、大仏の近くには、同じ大きさの左手も安置されている。
他にもたくさんの見所が
桃巌寺にはこの他にも、本堂へ入れば(拝観料1000円)直径1メートルの日本一の木魚に触ることができたり、眠り辯天(触れられるのは年2回)も安置されている。また、本堂を左へ曲がれば、辯才堂と呼ばれるお堂もあり、そこではおみくじも引ける。
ちょっと足を延ばし、都会の喧騒から離れ、ミステリアスな大仏を見に行ってみてほしい。
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