2016年夏のコミックマーケット―日本最大のオタク達の戦場
最も暑くて熱い夏
今年2016年もまたやってきた――コミックマーケット(通称:コミケ/コミケット)の季節が――。アニメ・漫画を愛する者達にとっては半ば風物詩のようなものである。照りつける太陽の下、北海道から沖縄まで、日本全国から多くの人々が東京・有明の東京ビッグサイトに集結する。
コミックマーケットとは、8月の中旬と年末の年2回行われる、日本最大の同人誌即売会のことである。平たく言えば、自費出版した創作物やグッズを、サークル(売り手)として参加した個人個人が販売するのである。
そして更には、個人だけではなく、アニメや漫画、ゲーム関連の各企業の出展もイベントを盛り上げる。企業ブースではコミックマーケット限定商品が販売されたり、一部では催し物が行われたりする。
また、コスプレの撮影会も活発に行われるため、視覚的にも非常に楽しいものとなっている。
何故「日本最大」なのか
このようなイベントは何もコミックマーケットだけではない。日本各地で、年間を通じてほぼ毎週、大なり小なり似たようなイベントが開催されている。
その中でコミックマーケットが名実ともに日本最大である所以の1つは、まずその「規模」である。期間は夏も冬もどちらも3日間設けられ、サークル数は35000、3日間を通じて約60万人に達する程の規模の来場者がある。
そして次にその「古さ」である。コミックマーケットが初めて開催されたのは1975年で、最初は小規模なイベントからの発足だったが、徐々にその参加者を増やしていき、90年代に現在の大規模会場を使用し始めた。
また、注目すべき特徴はその「自立性」にもある。驚くべきことに、スタッフは基本的に、館内整理から救護班まで全員が有志のボランティアである。スタッフを担う者の本職は学生であったり、会社員であったり、はたまた医師であったりと、非常に多種多様である。
暑さ対策・寒さ対策はしっかりと!
コミックマーケットの期間中、近隣のコンビニでは、栄養剤やゼリー飲料が常軌を逸した密度で商品棚に並び、来場者の需要に応える (Writer’s Photo)
コミックマーケットはしばしば「戦場」とも表現される。それはイベントが始まってからの事を指すとも言えるし、始まる前の事を指すとも言える。
入場待機列の形成は早朝5時前後に始まり、夏場は炎天下で、冬場は極寒という過酷な状況の中、数時間くじけずに耐え抜く。参加者は何故それほどまでの苦行をおして列に並ぶのか?それは、各商品には限りがあるため、早くに行かなければ売り切れてしまうためである。この戦場を勝ち抜いたものだけが、当日「戦利品」を手にすることができるのだ。
しかし、早く並べば何でも良いというわけではない。鉄道の始発時間前の早朝や、前日の深夜から並ぶ行為は、近隣の住民の迷惑ともなりえることから、ルール違反と見なされ忌み嫌われる。
参加してみたい!と思ったそこの貴方へ
午前7時半頃の待機列の様子 (Writer’s Photo)
コミックマーケットは現在も進化を続けている。2016年の冬には更なる会場の拡大が予定されており、過去最大規模での開催となる見込みである。
コスプレイヤーへの撮影は本人に許可を得てからする、売り場の撮影は基本的にNG、などという基本事項さえ踏まえたら、もはや2次元(アニメやマンガ)に国境は無い。もし貴方がこの3日間の祭典を訪れるなら、潮風そよぐ東京の有明は貴方を歓迎するだろう。