クールジャパンの原点「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」
人間が造り出す物には、「エポックメイキング」と呼ばれる物が必ず存在します。例えば映画「スターウォーズ」は、後のVFX映画を発展させる礎となりました。「機動戦士ガンダム」は日本のマンガ、特にアニメーションにとってそんな存在です。その公式とも言えるマンガ版が刊行されています。それが「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」です。
あらすじ
時は宇宙歴0079年、地球を中心に数多くのスペースコロニーから構成された地球連邦が成立した未来世界。その内のひとつ「サイド3」は「ジオン公国」を名乗り、地球連邦に対して独立戦争を開始した。「1年戦争」と呼ばれる戦いの末期、連邦軍の新型モビルスーツ・ガンダムで戦争に参加する事になった主人公「アムロ・レイ」とその仲間達を描いた作品。
登場人物
アムロ・レイ
本作品の主人公。
父親がガンダムの設計者で、物語当初では一般の民間人。
避難中に偶然、ガンダムへ乗り込み戦争に巻き込まれてしまう。
性格は内向的で消極的、しかし、戦争経験からその性格も徐々に変化して大人へと成長してゆく。
ブライト・ノア
最初は副官的立場であったが、他の上官達は戦いで戦死してしまい、半ば成り行きでアムロ達が乗船する「ホワイトベース」艦長へと任命されてしまう。
セイラ・マス
アムロと同じで戦争に巻き込まれてホワイトベースの通信士として戦争に参加する。
実は「ジオン公国」知事の娘で、ジオン建国時のクーデーターにより両親を殺され、ジオンから逃亡した。
シャア・アズナブル
「赤い彗星」と呼ばれるジオン軍のエースパイロット。
アムロと敵対するライバル。
実はセイラの兄であり、ジオン軍の中に居て虎視眈々と復讐の機会を狙っている。
社会現象的な大人気となった理由
元は1979年にTV放映されたアニメ番組でした。最初の放送では、まったく不人気でしたが、再放送・再々放送と繰り返す事で不思議と人気が出てきます。そして、1981年に日本で狂乱的といっても良いガンダム人気が発生します。後にこの第1作目は「ファーストガンダム」と呼ばれ、2016年の現在でもその系譜にあたるアニメが放映されています。
当時、人が搭乗して戦う巨大ロボットアニメは数多く存在していました。敵は「異星人」や異世界から来た「異世界人」など、人類に悪意を抱く絶対悪な敵に対して、正義を信じる青少年たちがロボットで撃退する、そうした物語が普通でした。
しかし、「ガンダム」では一部悪意のあるデフォルメがあるものの、主人公達の敵対者は「同じ人間」であり、現実世界に近い「戦争」が主題となっています。更には、主人公達は望んで戦争に参加した訳ではなく、戦いに巻き込まれてしかたなく参加し、戦争に苦悩して成長してゆく姿が描かれています。そんな主人公達の姿は、勧善懲悪な物語に慣れ親しんでいた少年達に最初は理解しにくかったのでしょう。しかし、何度も見返して作品の本質を理解した少年たちによって大ブームが発生したのです。更には主人公のアムロ・レイが最初は「引きこもりがちな青年」など、現代社会を予言するかの様な描写を散見する事も出来ます。
その「ファーストガンダム」の物語をマンガにリメイクした作品が「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」です。著者は、アニメ版で登場人物をデザインした「安彦良和」です。物語の本筋はTV版とほとんど変わりませんが、アニメ版では無かった心理描写や出来事が修正・追加され、アニメ版の物語を補完しています。そして、2016年の現在でも、好敵手シャアに焦点を合わせガンダム登場以前の「1年戦争」を描いた続編マンガおよびアニメ作品が発表されています。
最後に
Diver City Tokyo Plaza, https://www.tripadvisor.jp
現在ならば「古典」とも言える作品で、現代の我々から見ると当時放映されたアニメを直接見ると古臭く感じるかも知れません。しかし、本作品「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」は現代の視点で描かれたリメイク作品です。ぜひ一読して、日本のアニメとマンガの「エポックメイキング」的作品を堪能されてみてはいかがでしょうか?