千年の時を経て、現代に蘇る平安時代の貴族の遊び ― 毛越寺「曲水の宴」
平安時代は優美な貴族の時代。豪華爛漫な装束に身を包み、貴族たちは自由気ままに遊びを楽しんでいました。今回ご紹介する「曲水の宴」は、そんな当時の遊びの1つ。和歌を楽しむ貴族たちが、千年の時を越えて平安時代から蘇ったかのようなその光景は、他ではなかなか体験できないものです。タイトル:写真
曲水の宴って?
曲水の宴(ごくすいのえん)とは、奈良・平安時代に貴族の間で盛んに行われた「歌遊び」。山から庭園の池に水を取り入れる為の水路を「遣水(やりみず)」 と呼びますが、その曲がりくねった水路の淵に座り、上流から流した杯が自分の前に流れ着くまでに和歌を詠み終え、杯に入ったお酒をいただく歌遊びが曲水の宴です。
話だけ聞くと、何だかこの曲水の宴と言うゲームは急かされ忙しい印象を受けますが、非常にゆったりした貴族らしい遊びです。曲水の宴は、京都など日本の各地で開催されますが、その中でも岩手県の毛越寺で開催される曲水の宴は非常に有名です。
毛越寺の曲水の宴
毛越寺は岩手県の平泉にある藤原家を代表するお寺。世界遺産にも登録されている歴史深いお寺です。
毛越寺の遣水: https://www.flickr.com
その毛越寺には庭園があり、季節毎に移り変わる風景が非常に魅力的。毛越寺の遣水は、平安時代の庭造り作法に忠実に従い作られており、現存する唯一の完全な形の遣水だと言われています。その流れは全長80mと全国最大規模のもので、この貴重な遣水の周りで毛越寺曲水の宴がとり行われます。
そんな魅力的光景のおかげか、毛越寺の曲水の宴は、米CNNが選ぶ「日本の最も美しい場所31選」にも選出されています。平安時代の装束に身を包んだ歌人が並び、和歌が飛び交い、平安時代の遊びを現代に再現します。
龍頭鷁首, http://blog.livedoor.jp/rana019/
千年の時を経て、平安時代を蘇らせる毛越寺曲水の宴。興味を持った方は、開催の時期(5月の第4日曜日)に合わせ足を運んで、当時の日本人の雰囲気・歴史を五感で感じてみて下さい。地図
関連記事:
起源は階級制度!?「紫色」の魅力に取りつかれた日本の色の歴史
今海外からも注目されている日本の伝統的な遊び ― 「けん玉」「ベーゴマ」「百人一首」