新たな東京観光「旧古河庭園」 ― 和と洋が混合した、バラが咲く珍しい日本庭園
外国からのツーリストが東京を好きになる理由はさまざまあるかもしれませんが、その中の一つに、東京は世界でも有数の近代化した都市でありながら、昔の姿もとどめているという、「過去」と「現在」が混在している姿を見られる場所だ、というのがあるでしょう。特に、昔の日本の文化は外国の目から見ても珍しく、それを目の当たりにすることはとても面白いはずです。
日本庭園もそんな昔から続く日本文化の一つで、そこには日本の精神と思想が息づき、日本独自の姿を垣間見ることができます。そんな日本庭園は日本各地にありますが、東京都内にも10以上現存しています。その中の一つが「旧古河庭園」です。他の庭園と比べると規模は大きくないですが、他では見られない特徴を持っていて、とても興味深い所です。この旧古河庭園を訪れれば、日本の精神を感じられるだけでなく、身も心も癒すことができるでしょう。
旧古河庭園とは?
旧古河庭園は公益財団法人東京都公園協会が管理する日本庭園の一つで、常に多くの観光客でにぎわっている人気の観光地です。東京都北区西ヶ原に位置し、最寄の駅はJR京浜東北線の上中里駅や東京メトロ南北線の西ヶ原駅です。歩いていける距離にもう一つの有名な庭園「六義園」があるため、この庭園とセットにして楽しむと良いでしょう。入園料も150円と他と比べると安く、気軽に足を運べます。地図
旧古河庭園の大きな特徴は、庭園が小高い丘の斜面を利用して作られていること。丘の一番上には洋館が立てられており、その下に洋風庭園、そして一番下に日本庭園が配置されています。つまり、同じ敷地内に和と洋が混在しており、他では見られない特徴を見ることができるのです。
旧古河庭園は大正初期頃に作られました。この頃は、西洋の文化が日本に流入し根付いていきながら、日本の伝統的な文化も忘れられることなく継承されていった、そんな時代で、まさに旧古河庭園内の和洋混合がそれを体現しています。それでは、そんな不思議な庭園の見所をいくつかご紹介しましょう。
豪華絢爛!バラが咲き誇る春と秋
他の庭園と同じようにここにも梅や桜があり、紅葉も楽しむことができます。しかし、一番の見ものはバラ。何十種類ものバラが植えられており、春や秋になると色とりどりの花が一気に咲き出します。
その様子は本当にすばらしく、上にそびえ立つ洋館とあわせて眺めていると、日本ではないような、日本にいることを忘れてしまうような感覚になるかもしれません。また、バラの香りがほのかに香り、とても優雅な気持ちにさせてくれます。園内ではバラの鉢植えやローズジャムなどバラにちなんだ商品も売られているので、お土産に買っても面白いでしょう。ただし、園内に植えてあるバラを持ち帰ることは絶対禁止です。あまり奇麗だからといって、持って帰らないようにしましょう。
静寂…落ち着いた雰囲気の日本庭園へ
バラの庭園から木立をくぐり下りていくと日本庭園があります。ここで一気に、日本独特の静寂に包まれた厳かな雰囲気に変わります。日本庭園の真ん中には大きな池が配置され、その周りをモミジやマツなどの日本古来の木々が囲みます。その中に時折大きな灯篭が現れ、より一層雰囲気を高めてくれます。
池の中ではコイや亀がゆっくりのんびりと泳ぎ、石の上ではサギやカモなどが羽休めをしています。そこにはまるで日本古来の姿をぎゅっと凝縮したような様子が広がっています。砂利の遊歩道をゆっくり歩いたり、近くのベンチに座って大きく深呼吸をすると、その静寂の中で心癒されるような気分に浸れることでしょう。
東京都内には六義園や浜離宮恩賜庭園など、規模も大きく、純日本的な庭園がありますが、この旧古河庭園は小さいながらも歴史を感じられ、和と洋が融合した珍しい庭園を眺めることできる唯一の場所です。日本庭園でぼーっと一日を過ごしてみても良いでしょうし、バラの時期に訪れて、写真に没頭してもいいかもしれません。また、夏や冬に来ても季節の花が咲いているので、時期をずらしても楽しめるでしょう。どんな時期に訪れても楽しめるこの旧古河庭園、とてもお勧めです。