地域によって違う日本の麺料理の不思議 ― きつね/たぬき?うどん/そば?赤/緑?
日本を代表する麺料理で相対関係に位置する「うどん」と「蕎麦」。しかしそれらの種類はちょっと複雑で独特です。そこで、うどんと蕎麦の地域ごとの呼び名や味の違いをまとめてみました。
狐/狸
日本では昔から「狐」と「狸」は化ける特殊能力を持った動物として認識されており、しばしば童話などにも登場します。この狐と狸の2本柱は、以下に説明するうどんと蕎麦の相対関係にも使われています。
関東地方
きつねうどん/そば
きつねそば:http://www.gnavi.co.jp/
関東地方では、狐というと甘辛く煮た油揚げがのったうどん/そばの事を指す。油揚げは狐の好物とされているからだ。油揚げから連想されるものとして、稲荷神社や稲荷寿司があるのはご存知だろう。
たぬきうどん/そば
たぬきうどん:http://tabelog.com/
たぬきそば:http://soba-quu.com/
関東地方では、狸と言うと天かすののったうどん/そばの事を指す。昔は揚げた衣が茶色がかって濃かった事から狸の色を連想させたとか、由来は様々。
関西地方
きつね:油揚げののったうどん(関東地方のきつねうどん)
たぬき:油揚げののったそば(関東地方のきつねそば)
関東地方で狐/狸と言えば油揚げ/天かすの部分を指す一方で、関西地方では狐/狸はうどん/蕎麦を指す。よって基本的にはトッピングの油揚げが固定となり、関東地方で言う所のきつねそばやたぬきうどんは存在せず、関西人には通じない。
また、京都ではたぬきと言うと、刻んだ油揚げののったうどん(関東地方のきつねうどん)に餡かけがかかったものを指す。
関東地方 | 関西地方 | |
きつね |
油揚げののったうどん/そば | 油揚げののったうどん |
たぬき | 天かすののったうどん/そば |
油揚げののったそば |
わかりやすく例を上げると、例えば東京で油揚げののったそばを狐と認識するのに対し、大阪ではこれを狸と認識する。
※うどん、そば各々に対して更に暖・冷があり、非常にバリエーション豊富
赤いきつね vs 緑のたぬき
左:赤いきつね(きつねうどん)、右:緑のたぬき(たぬきそば)
更に日本のカップラーメンにも狐と狸が登場する。それは日本人なら誰でも知っている「赤いきつね」と「緑のたぬき」だ。このロングセラー品のおかげで、狐と言えば赤、狸と言えば緑、というカラーイメージまで日本人には定着している。
更にこのカップラーメンシリーズは、地域ごとの味の好みに合わせて4バリエーション(北海道、東日本、西日本、関西向け)が発売されており、異なる出汁により味を変えている。それは、関東が濃い口醤油、関西が薄口醤油を代々使用する事に起因する。
関連記事:「醤油」についてどれ位知ってる!?日本料理で必須の調味料を学んでみよう
おまけ:力うどん/そば
ちなみに狐/狸以外に「力」というネーミングもあり、それは餅を指す。その由来は、餅は腹持ちが良いことから力がつくとか、「力持ち(餅)」にかけた駄洒落など様々な説がある。餅は従来日本では縁起が良い食べ物で、多くのイベントや行事で登場するもの。よって写真のこの力うどんはとても良い料理である。
さあ、あなたは狐、狸、うどん、蕎麦、どの組み合わせがお好みでしょうか。また、カップラーメンで地域毎の味の差を食べ比べてみるのもおもしろいかもしれません。
関連記事:
食べたいのはどれだ!?B級グルメの代表格「ご当地焼きそば」9選
Taste Your Way Around Japan: 10 Regional Delicacies to Try!