京都の伝統芸能「都をどり」 ― 芸妓/舞妓が鮮やかにシンクロする舞踊公演
都をどりとは
京都の祇園甲部歌舞練場で開催される芸妓・舞妓の舞踊公演。毎年4/1~4/30に開催され、春を告げるイベントとしてとても有名。2016年の春で144回目を迎えた、非常に歴史深いイベントである。
原則、大勢で踊る総踊形式で、京都の名所や歌舞伎、文学などを唄と共に紹介しながら踊る。その演出方法は、昔からほぼ変わらず受け継がれている。まさに、和装の「宝塚歌劇団」と言った所だろうか。
※都をどりの「を」は、「お」ではなく、旧仮名遣いの「を」が残っている。
都をどりの歴史
明治維新による東京への遷都により、京都の人々は、京都が衰退していくという危機感を抱いた。そこで明治5年、京都博覧会の余興として、初めて都をどりが取り入れられた。京都の街の伝統を保持すると同時に、新時代の近代都市を建設しようという、京都らしい思想が伺える。
そして、当時は、総踊形式の踊りや花道はとても珍しく、今までとは違う「革新さ」があった為、非常に大人気となった。その反響もあって、今でも京都の代表的な催しとして受け継がれている。
都をどりで注目すべき点5
1.会場:祇園甲部歌舞練場
まず会場がすごい。会場に使われる祇園甲部歌舞練場は、国の文化財にも指定されている。昔は一般人が入る事さえまずできない、とても特別な場所だった程だ。庭園の桜を見るだけでも大きな価値があると言える。
内部も最高の雰囲気で、舞台と客席が一体となる。
2.舞妓の着物
2012年の衣装(テーマ:宝船):https://www.flickr.com
毎年変わる舞妓の衣装にも注目。会場内に歴代の衣装が展示されている。
3.芸妓によるお茶席
都をどりの上演前には、会場の2階でお茶席が設けられる。
4.花道からの登場シーン
お茶席で気分も盛り上がった所で、ついに都をどりの開幕。花道と呼ばれる会場横の道(客席の横)を通って、お揃いの衣装をまとった芸妓・舞妓が登場する。これで一気に会場が都をどりの世界に引き込まれる。
5.革新的な演目表現
花道から前方の舞台へと踊り子が集まると、いよいよ本格的な演目が始まる。
都をどりは、約1時間の間に、四季をテーマに8つの場面がある。花道同様に、当時の人々を沸かせたもう1つの特徴が、終始幕が降りない事だ。四季や場所の変化は、舞台を暗くし、その間に背景を変える事により行う。これは、当時非常に近代的で独創的な演出方法だった。(注意:その分、休憩時間もないので覚えておきましょう)
演目に引き込まれ、気付けば終了まで夢中で見入ってしまう都をどり。今回記載したような見所を踏まえ上で、舞妓の初々しい姿から芸妓のプロの動きまでぜひ見に行ってみて下さい。毎年、衣装や演目、振り付けも変わるので、飽きる事もありません。
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