「蒔絵」 ― 日本製品には欠かせない、変幻自在な和柄を表現可能にする伝統技法
この和包丁、かっこよくないですか?この包丁の鞘には、「蒔絵」と言う日本の伝統技法が用いられています。一体蒔絵とは何なのか。そして、どんな日本製品に使われているのか、をお伝えします。製造過程や日本の高度な技術を知ることで、興味が沸き、ほしくなってしまう人もきっといることでしょう。タイトル写真:写真
蒔絵って?
蒔絵とは、漆工芸技法の1つ。漆で絵や文様を描き、その漆が乾かない間に、上から金や銀などの金属粉を蒔き、定着させ、デザイン化する技法である。
漆の良さ・特徴
漆(うるし)とは、植物由来の樹脂で、日本らしいなと感じる製品には必ずと言っていい程塗られている、日本には必須の塗料である。
1. 環境に優しい:自然塗料の為、環境に優しく、人体にも安全。
2. 独特の優美さ:科学塗料には出せない独特の艶や手触り感が良い。使えば使うほど光沢が増し、高級感が出るのも特徴。
3. 接着力が強い:この作用の為、蒔絵時の金属粉が剥がれる事がない。
4. 格段に長持ちする:一旦固まった漆は、酸・アルカリ、薬品、高熱に対しても耐久性が高い。また、耐水性、防錆性もあり、購入した漆製品は一生ものとなる。
5. 補修・再生できる:漆は何回も重ね塗りができる為、色が落ちた部分や剥げた部分に再度漆を塗る事により、新品同様に蘇る。これにより、元々長持ちする漆製品が、更に長持ちする。漆の重ね塗りを使って、数百年前に建てられた神社・仏閣の補修工事も多く行われている。
6. 変幻自在:漆は乾くまでに時間がかかる為、その間に様々な仕掛けやデザインを施せ、変幻自在に操る事ができる。よって、世界に一つだけの製品を作る事が可能となる。
蒔絵が施された日本製品
1. 箸
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2. 印籠
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3. 簪
http://kogaku-makie.sakura.ne.jp/
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4. 万年筆
http://www.platinum-pen.co.jp/
5. 和包丁
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6. 箪笥
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7. 印鑑
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この日本っぽい品々、すべて蒔絵製品です。現代の最新技術で、この蒔絵に似たような柄を表現する事は可能ですが、やはりその高級感や光沢感、品質、耐久性、そして何より「手造り」であるという商品価値は、抜かすことはできないでしょう。今一度日本人によってその本家の価値を再確認しなければいけない時代に来ているのでは?と強く感じます。